「聖ペテロへの天国の鍵の授与」では、主イエスが十二使徒の長に選ばれた聖ペテロへ、つなぐ力と解く力の全権を任せるため天国の門を開く鍵を与える場面が描かれています。
鍵は権力のシンボルで、鍵を渡すことは全権力を授与する象徴的な法的行為とみなされています。カトリック教会ではイエスから受け取った権威をローマ司教としてのローマ教皇が継承しているので、ペテロを初めのローマ教皇とみなしています。
バチカン市国のシンボル・国章はこのペテロの鍵と、司祭・司牧・教導を表す教皇冠(三重宝冠)となっている。このペテロの鍵と三重冠のシンボルは、全ての教皇の紋章に共通してみられます。鍵は金と銀の2本が交差するように描かれ、金の鍵は天上の鍵として宗教的な権威を意味し、銀の鍵は地上の鍵として現世的な権威を意味します。最後の審判では天国の鍵を手にする聖ペトロが描かれています。
この交差する鍵の紋章はドイツ・バイエルン州のレーゲンスブルク市でもよく見られ、市の紋章としても使われています。これはドームと町の守護使徒である聖ペテロからきています。ドームを見つめる男の子のような像・ブルゥクマンデルや、旧市庁舎・石橋のゲートなど、町のいたるところにこの紋章がみられます。